今週のお題「読書の秋」
最近読んだ4冊。
伊藤くん A to E(柚木麻子)
アカガミ(窪美澄)
ポトスライムの舟(津村記久子)
この4冊には共通点があり、
それは新井紀子氏と佐藤 優氏の対談記事の中で
プロレタリアートによる妙な革命(プロレタリアートがプロレタリアートであることをやめる)をよく表す作品として挙げられた作品であること。
新井紀子氏によると、こういった文学作品が次々と出てくるのは、
「1980年前後の彼女たちの世代が一番ひどい目に遭っているからでしょう」とのこと。
私も1980年前後生まれ。
そうか、一番ひどい目に遭っているのか…。
他の世代がどんな目に遭ってるか知らないから、これが普通だと思ってたけど。
1971年~1984年生れが就職氷河期時代と言われてるしね。
4作品に共通する「閉塞感」とか「消極性」も、私にとってはごく普通に受け入れられるし、そんな雰囲気の中で、持ち前の健気な気丈さで精一杯生きる主人公達は逞しいと思う。
(伊藤くん以外)
<新井紀子氏と佐藤 優氏の対談一部抜粋>
【新井】私の周りでも、多くの大学生が修士を出るまでに600万円くらいの借金をしています。もし大学院生の男女が結婚したら、その瞬間に両方で1000万円以上の借金ができることになる。20代で1000万円以上の借金があったとしたら、子どもなんて怖くてつくれません。その状況で、3人子どもを産むなんて絶対に無理なのです。しかも、仕事が非常に不安定な状況で、稼げる見込みもない。では、そうしたお金が稼げないような人たちが今、何を言い始めているのか。結婚することと子どもを持つこと、家や車を持つこと。このコストだけで1億円くらいかかる。これを全部あきらめれば、このコストからフリーになれると言っているのです。それをプロレタリアートに言われたら、もう資本主義は終わるのです。
【佐藤】それはもうプロレタリアートではなくなるということですよね。
【新井】そう。そうすると、もう本当に国民国家は終わるのです。結婚はしません、家は持ちません、車などのレジャー消費はしません。それで、勉強はしません、自由になりますと言われたら、それはもう終わるのですよ(笑)。
【佐藤】そう言えば、プライドを満たすことができるのでしょう。車を持てない、家族を持てないということではなく、持たない。それが主体的な選択だということです。そうすれば、プライドを満足させることができる。
【新井】それがある意味、妙な革命なんだなと思ったのです。
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