蒲団を読んだ。
どこかで「女に振られて下着の匂いを嗅ぐ小説」であると聞いたような気がして
「えぇ…(困惑)」と思い遠ざけていたけど、青空文庫で見つけたので読んでみた。
(ちなみに実際にクンカクンカするのは蒲団だった。)
出版後115年経った今もレビューで「キモい」「ゲスい」「不快」「変態」と言われてて、ちょっと気の毒…。私は心の準備が出来ていたせいか、そこまで不快には感じなかった。「(´・ω・`)アレ?モシモシ??」と思う箇所はあったけど、その程度。
主人公の時雄は出勤途中で、毎朝ちょっとキレイな女性を見かけただけで色々と想像を膨らまして、妊娠中の奥さんがいるのに
その時、細君が懐妊しておったから、不図難産して死ぬ、その後にその女を入れるとしてどうであろう。……平気で後妻に入れることが出来るだろうかどうかなどと考えて歩いた。
もしもし、出産は命がけですよ?
この辺がゲスいと評される所以かとは思うけど、ちょろっと思っただけで、奥さんを階段から突き落とすとか実際に何か行動を起こした訳でもないし、誰かに不快な思いをさせた訳でもない。
むしろ、ちょろっと思っただけで終えてるのが小心者で人間臭くて親近感しか湧いてこない。(活字にして出版するのはものすごい勇者だと思うけど。)
時雄は、大好きな年下女性の芳子ちゃんに彼氏(田中さん)が居るのは知ってたけど
「清浄な恋」ではなさそうである雰囲気が濃厚となるや否や
自分も大胆に手を出して、性慾の満足を買えば好かった。こう思うと、今まで上天の境に置いた美しい芳子は、売女か何ぞのように思われて、その体は愚か、美しい態度も表情も卑しむ気になった。
もしもし、同意があるのが前提ですよ?
「じゃあ自分も」ってそんな、居酒屋で生ビール注文みたいにさぁ…。
そして見事な手のひら返し。
好きなアイドルに彼氏が居て幻滅するファンの心境にも似てる?
房子ちゃんが居なくなってから、最後に房子ちゃんの蒲団で泣いちゃうのは「本当に好きだったんだねー😊」という感想しかない。
失恋で涙する若い子よりも、オッサンが失恋して泣いてる方に哀愁を感じる。
若い子はこれからイッパイ恋をして昔の失恋なんてキレイサッパリ忘れていくだろうけど、生い先短いオッサン(それでも時雄は34歳なので私よりも若いけど)にとっては人生で最後の恋かも知れないから。
「パンツが見える。」で昔のパンツ事情に詳しくなってしまい、房子ちゃんも…と想像してします私も十分キモいんだろうな。
明治大正の下衆告白3点セットの残り2冊
・森鷗外「舞姫」
・島崎藤村「新生」
も読んだことが無いので、そのうち読もうと思う。
蒲団は全然ゲスいとは思わなかったけど。
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