昨日から引き続き、米原万里の不実な美女か貞淑な醜女かを読んで思ったこと。
今勤めている小さな会社で貿易を担当してるのが私だけなので、通訳と言えるような大そうな仕事はしてないけど社内の要望を海外の取引先に伝える際の苦労については良く分かる。
始末におえないのは、次のようなお客さん。
「ねえ、ねえ、通訳さん、これ外人さんに言ってやってよ。「そこに塀が建ったんだってね』『ヘー』」
不実な美女か貞淑な醜女か
こういうの、お酒の席では「あるある」。
しかもお酒の席では下ネタも「あるある」。
米原万里が下ネタに詳しいのは、酒宴の経験値と比例してるんだろうな。(本人は下戸だったらしいけど。)
とある会社の社長さんが、「一つよろしく」を「One,please」と言った話も笑える。流石に現代の日本ではそんな人は居ないと思うけど。
このエピソードを読んで、私が小学生の時「僕天才!10才だから!」って言ってるクラスメイトが居たのを思い出した。
以前、業界団体の偉い人から紹介を頂き、うちの会社が新規に海外の会社と取引を始めるとき、プレッシャーが掛かってたこともあり
上司から「俺のメールを丁寧にそのまま訳して送るように!」と指示を受け、海外の会社とメールにてやり取りをしたんだけど、
「こちらでは昨日から急に冷え込んできています。
秋が無く、夏から冬になってしまったかの様です。
そちらではいかがでしょうか。」
とかさぁ!!!
毎回毎回毎回毎回、暑いだの寒いだの雨降っただの晴れただのさぁ!!!
グダグダとさぁ!!!
海外のビジネスメールでさぁ!!!
誰も言わないんだけどさぁ!!!
と思いながらも訳してたんだけど相手の会社も
「日本ではそういうモノなのかしら?」
と思ったのか、こちらに合わせて
「こちらでは特に今の時期は雨が多いのですが最近も雨ばかりで、冬の訪れを感じます。」とか言ってきてくれてちょっとホンワカした。
交 渉 は 決 裂 し た け ど ね ✌!!!
(ワタシのせいじゃないよ、詳しくは話せないけど。)
こんな私のジレンマなんてプロの通訳さんからしてみれば超・序の口なんだろうな。
プロの通訳になると、
H氏が若かりし頃、宴席でロシア人の小咄のオチが分からなかったとき、日本側に爽やかに訳した。「最後のオチが難しくて分かりません。でもどうか大声で笑って下さい。 イ チ・ニ・サン!」もちろんロシア人は大満悦で、和気アイアイに宴は終了した。 こんな話を聞くと皆様は自信を持たれるだろう。なんだ、皆失敗しているのかと。しかしこういう縦横の機知と、最後まで活路を探す粘りが必要なので、通訳にとって沈黙こそが最大の敵だということを肝に銘じてほしい。 (河島みどり「通訳者の現場便り・キャリア・ウーマンからのアドバイス」、「現代ロシア語』 一九八〇年七月号所収)
不実な美女か貞淑な醜女か
これこそ、ザ・通訳なのかも。ここまできわめると天晴。
でも、2冊ともちょっと古い本なので、昭和臭が漂う…。
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